モノカエ博士とジタル|いもあん【全3巻】
267夜の!!!! 世界の!!!!! お話!!!!!!!!
そちらのキャラクターは直接は出てきませんが、
話題にはあがるので267夜を先に読んでおく方が色々と分かって一層面白いです。
267夜も大好きなんだよ……。
今回は267夜で旅立った彼らの、彼ら以外のお話。
彼らの住む場所、住む世界を別軸から見られてとても嬉しい。
267夜では修柱師とおつきの楽師さんのお話でしたが、今度はその柱を管理する側にいらっしゃるサトリのモノカエ博士と、家政夫のジタルさんのお話。
相変わらず言葉が優しい……優しい……。
そしてこの作品で一番好きなのが、サトリであるモノカエ博士。
サトリだから当然他の人が考えていることがずばずばと分かるのだけど、
その対極にあるのが、ごくごく普通の人であるっていうのがすごく好きなんだ。
自ら人を遠ざけて、辺境の小島でひっそりと暮らす理由が
もちろん周囲の人の思考がなだれ込んでくることを防ぐ意味もあるんだろうけど
サトリに聞かれたくないと緊張する人々を遠ざける意味もあるところがすごく好き。
これね、決して悪意がある人たちばかりではなくて、むしろ周囲に多いのは本当に普通の人なんだ。
だけど読まれてしまうと思ってしまったら心穏やかに接することが出来なくて、
心穏やかに接することが出来ないことに罪悪感すら覚えるような、本当に普通の人たちなんだ。
もちろん最終的には心労の果てに「サトリなどいなければ」っていう結論が心の底に芽生えてしまって、
それすらもモノカエ博士には聞こえてしまうから自衛の意味も大きいのだろうけど。
でも彼らを遠ざけることで彼らの尊厳も守ろうとするモノカエ博士の対応、すごく素敵じゃないですか……。
そして心の底まで聞こえるモノカエ博士だから、ジタルさんの
恐らく言語になっていない無意識の感情を撫でるように感じられているところもすごく好き。
そして267夜を読んだ後だと、柱を修復し終えたあとの風景、景色、モノカエ博士がサトリの耳で聞いた世界の音があまりにも美しすぎて泣いてしまう。
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