記憶の糸 〜坂の上の魔法使い〜【現4巻】
「坂の上の魔法使い」本編からさらに年月が過ぎ、ゲルの町の総督となったラベルのお話。
本編ではリー様と過去の話が半々くらいで出てきてましたが
記憶の糸では「その後の魔法使いたち」に焦点が当てられています。
王家の目ってずっとリー様視点から見てたし、
王家の目を使わずに信頼関係を構築しようとする王様視点でも見ていたから
何やらすごくて絶対的なもの、という印象は持っていたけど、
他の魔法使いからしてみたら恐怖の対象以外の何者でもないっていうのが
改めて描かれてて良いなあ……!!
そもそもセロハン王家自体が魔法使いと国の歪みで滅びてしまったようなものだけど
改めてその渦中から生きていて少なくとも「王家の魔法使い」であったギルド長の口から
『セロハン王家が滅び安心したのもつかの間』とか
『ラベル殿がいなければどんなにか心が安まるだろう…』なんて聞くと
魔法使いたちにとってはどれだけの恐怖だったのかと思えます。
またすごく好きなのが、
その王家の目がいまやすでに書物の中でしか魔法使いには伝えられていないこと。
ギルド長が居ることからもあの渦中を生き延びてきた魔法使いたちは他にも居るはずなのに
誰も魔法使いたちに王家の目については伝えてこなかったところがすごく好き。
考えれば考えるほどに、魔法使いにとってのセロハン王国にあった隷属の歴史は
忌まわしいものだったのだろうな。
リー様ずっと王宮付きだったし、そもそも転生数が半端ないし、
転生数が半端ないってことは「王家のための魔法使い」以外のアイデンティティなんてそらもう希薄になるから
命令されることの方が余程当然で真正面から目を見ていられたんだろうなあ……。
記憶の糸では、本編ではそこまで深く触れられなかったギルド長をはじめ、
使役たちや杖、魔法使いの増やし方なんかの
魔法使いを構成する諸々に焦点が当たっていてとても楽しい。
そういえば魔法使いってどうやって生まれてくるんだろう。
リー様の昔話(※1巻参照)でも、魔法使いの脱皮について語られているだけで、
魔法使いそのものがどこからやってくるのかまでは話してないな。
それにしても相変わらずリリド(※命名前)が美しい。
幼いギルド長可愛い。
ラベル君たらすっかり立派に育って……。
「贅沢は敵ですよ!!(`・∀・´)」言ってた頃が懐かしいよ。
思わず1巻取り出しちゃったよ。ラベル君幼い……可愛い……。
この頃のラベル君は小石を浮かせるのも精一杯だったんだなあ。
今となっては、唯一の王家の目保持者で避けられるほどになったというのに。
続編作品ってこう、本編キャラクターたちを親戚目線で見られるのも楽しいすね。
いつまでも小さい頃の話を繰り返して嫌がられたい。
坂の上の魔法使い自体が、最終巻まで読むと序盤のちょっとした会話や回想も
すべて意味が分かって面白くなる構成になっているから、
記憶の糸で魔法使い周りの情報が補填されてから読むとなおさら面白くなる。
ギルド長の過去話通じて魔法使いの出生とかも明かされるようになるのかな。
あわよくばリー様の出生とかも語られないかな。
幼い日のリー様とか!!! 出てこないかな!!!!!