化学部のメガネ|新井煮干し子【全1巻】

化学部のメガネ

化学部のメガネ

[著]新井煮干し子

●著者     新井煮干し子
●発行     茜新社
何でこの人こんなに男子描くのうまいんだろう。
心の中に男子高校生がおる……。
しかもオタク寄りの憎めない男子高校生がめっちゃおる……。
 
高校2年生の夏が終わったら、恋人になろう。
いやいやあくまで興味よ、実験。インタレスティング。
っていうスタンスからスタートする化学部在住のメガネたちのお話です。
 
実験から始まって、形から不器用に「恋人っぽさ」を追及していって

徐々に心が追いついてくる、みたいな描き方がね、ほんとすごく良い。良い。
この心が追いついてない時の描写と、徐々に追いついていく描写の流れが、すごく良い。
実験なので果敢にチャレンジする訳ですよ。
恋人っぽいデートだとか、恋人っぽく誰かに相談とか。
でもこれは実験だから、本番ではないから、ってことに、少し違和感を覚えたりする。
 
素晴らしいのは、この経過が決して湿っぽくはないところ。
友達と恋人の間の境界線を、実に愉快に実験と体験で手探りしながら、
「恋人っぽさ、ある…!!」て開眼してく様子が可愛い……というよりも、
蝉とってる子見てるような愉快さがある。
 
「ふしぎなともだち」は実にスムーズに、というよりも、
多分彼らは互いが互いに無二であってそれが結果的に友達であり恋人という枠になったように思えるし、
これは「渾名をくれ」のジョゼと天羽の二人にも何となく通じます。
というかこの二人の関係性はいまだによく分からんままです。
でも化学部在住のメガネたちはまず「恋人である」という枠から入るんですよ。
 
この作品には、充分仲良しの友達から急に『今日から恋人やぞ』っていう明確なスタートラインがあります。
昨日まで友達で、では恋人らしさとは何かっていう、心理ではなく行動から入っていく。
そしてその枠に自分を入れてはじめて見える世界や、はじめて見える面が出て来る。
この経過の視点、すごく好き。
身体からはじまる関係というのとは少し違う感じで、まるで自己暗示のように「この人が好きなのだ」という枠組みから始まる関係。
 
この、実験だから、と、恋人だから、の間を
ただ進むのでなく、行きつ戻りつしながら模索していくのがさあああ
大事なのは行きつ「戻りつ」
こう……友達だった筈なのにトゥンクというものではなくて
確かに両方とも友達と恋人の間にいるのだけど、その微妙な踏み込み方や位置で生まれている温度差がすごく良い。
片方は実験を強調し、そしてまた違うタイミングでもう片方も実験を強調する。
極めて似た位置にいるのにこの一歩の差の大きさよ。
そんでまた、実験で自らそう仕向けているから、って分かっているところを描くところが
すごく好きなんだ。
 
不器用ながら実験に律儀に向かい合う姿と、
実験だからと最後の一歩を踏みとどまる、ある種計算高く防衛線を張る姿!
駆け引きっていうのかなあ、でもこれ相手をどうこうするための駆け引きというよりも、
実験から実体験にうつって覚悟決めて、自分と向かい合うためのステップに見えるんだよなあ。
 
あと何が好きって、巻末の4コマほんと好き。
もう新井煮干し子さんの描くオタクどもの愛しさ何なの!!!!
 
あと私、新井煮干し子さんの描く目もすごく好きです。
色っぽいよね。

 


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