さんかく窓の外側は夜|ヤマシタトモコ【5巻時点】【連載中】
大好き。
ヤマシタトモコさんの作品大好きなので、さんかく窓の外側は夜以外のものもスキを見てねちねち話したいと思ってます。
さんかく窓の外側は夜は、ジャンルとしては、SF・ファンタジーとホラー・サスペンスが混在してる感じです。
幽霊が見える主人公三角くんと除霊師冷川さんのコンビによるお話。
またこの「幽霊」表現が秀逸で、絶妙に不気味で怖くて堪らん。
さんかく窓の外側は夜の好きなところは、
見えないものが見えるその表現。
1巻こそ「ふええエグいよう」っていう表現はあるものの、
他は本当に、些細な違和感の積み重ねによって出来上がった幽霊 という風です。
例えば、眼鏡を外した時に”それ”だけが妙にはっきりとした輪郭を持って見えることだったり、
厚みがまったくない姿であったり、
脈絡のない言葉を連ねながら、ただずるずるとついてくる様子であったり。
グロ表現こそ無いのに、だからこそ紛れている違和感に気付いて背筋が冷える感覚が、堪らない。
ひそかに映像化されないものかと思っています。
あとこれは当作品に限らないのだけど、会話劇もとても好き。
この会話劇を誰かの声と空気で見てみたくて、余計に映像化を心待ちにしています。
ヤマシタトモコさんの作品は、舞台や映像を見ているような存在感がある。
幽霊だったり幽霊のような不気味なモノだったり、
さらにそれを除霊して、という本筋からすればオカルトという表現もありそうだし、
きっとオカルトも正しく当てはまるのだろうけど、
この作品に関して言えば、やっぱりサスペンスが似合う。
ハラハラする。ドキドキする。
幽霊や幽霊のようなモノの存在はあくまでキッカケの一つであって、
だからといって「やっぱ人が一番こえーな!」という安易な結論に至るものでもなく、
オカルティックな存在に人が介在することで浮き彫りになる”違和感”。
これがすごく面白い。
現象があり、それに反応する人や感情があり、
さらにそこに介在する三角くんと冷川さんの温度差があり、
そこまで揃ってはじめて出来事として成り立つ様子が大好き。
さんかく窓の外側は夜の素晴らしい点はこの、淡々とした現象処理。
不気味な彼らに理屈も理由もすでに無く、
除霊する彼らもただ目の前の現象の処理をしているだけで、
そこに妙な情を挟まない描写の潔さ!
可哀想な過去や、同情されるような境遇があったとしても
それすら「現象」であり「事象」であり、
まるで淡々と描写されるものだから余計に読んでいてその温度差を感じずにいられない。
この一歩引いた描写がすごく好きなんだ。
とは言え、怖いモノは怖いし嫌だと三角くんは言ってくれる。
持っている力やそれ故に求められる理不尽さも他の登場人物たちが語ってくれる。
そして余計に、冷川さんの異質さが際立つ。
最新刊では冷川さんの過去が明らかになってきて、他の登場人物たちも絡みだして
いよいよ面白くて堪らない。
映像化、お待ちしてます。
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