春と夏となっちゃんと秋と冬と僕|佐岸左岸【1巻】
表紙の帯には「萌えの塊」、裏表紙には「ひたすらに、尊い」。
少し面白い構成で、1Pから2Pくらいの『日常を切り取った情景』が季節を追いながら描かれる形式です。
幼馴染で高校2年生のふたりは、夏から春までを一巡して高校3年生になります。
帰り道や放課後や授業中、花火を見たり秋の味覚を堪能したり、
あーーー高校2年生の夏ってまじで一生に一度しかないんだよなあ……なんて
ちょっとどこじゃないものすごいセンチメンタルを突きつけてくる。
じゃれあったり痴話喧嘩したりするその中に見え隠れするのが
高校2年生が人生の最先端にある彼らの、そりゃもうそりゃもう遺憾なく発揮される眩い十代っぷりで
それは若さとか幼さも自覚している若さなんだ。
しみじみ噛みしめるように読んでるうちに何か泣きたくなってしまう。
季節は巡るから春の花はやがて散るし、学校はいずれ卒業する。
その後の行き先も変わる、見える景色も変わる、人だって変わっていく。
そういう変わることばかりが控えていることも分かってる。
どこかちらちら見える感傷的な姿がさ……
相手がいつか広い場所で変わっていく時に置いていかれるのは自分なのだと妙な確信を持ちながら見てる姿がさ……
これまさに美しい十代(概念)の感傷じゃん……。
さらに好きなのは変化に対する瑞々しくて予防線のような不安が、変わり続ける季節の中で描かれているところなんだよ……。
1ヶ月ごとの構成になっているのでたっぷり12ヶ月分の景色を、
ちょっと交じる方言と自然豊かな情景とともに楽しめるよ……。
ついつい好きだからセンチメンタルなとこばっかクローズアップしちゃったけど、
作品はほんと微笑ましいも可愛いも詰め込まれてるよ。
むしろメインはそっちだよ!!