マウリと竜|元ハルヒラ【現在2巻】

季節や風、いのちのように巡り巡るものを司り幸をもたらすという「巡り神様」のお話。
竜の神様、蛇の神様、小鳥の神様、馬の神様、
姿形も様々に、そして巡る理由も様々なオムニバス形式のお話です。
巡り神様は地を巡りながら、想いが通じると同じ種となりともに暮らすのだそうな。
この童話のように愛らしい設定もすごく好き。
この作家さんは別作も購入していて、動物の描写にとても愛を感じる……と思ってたんですが、マウリと竜でも神様たちの描写に愛を感じる……。
1巻は少しせつない話も交えながら全体的にほんわかしてます。
2巻は、今度は戦乱と共に巡る神様が出てきて少し血なまぐさいお話になります。
で、このマウリと竜の中で一等好きなのが、
激昂した神様の「欲しい呪いを言ってみろ」のセリフ。
細分化してみましょうか。
欲しい ← あくまで与える神様然とした姿勢
呪いを ← 祝いと!呪いは!紙一重!!!
言ってみろ ← あくまで叶える神様然とした姿勢
FOOOOOO!!!
呪ってやるではなく、欲しい呪いを言ってみろ!
素晴らしくないですかこのセリフのチョイス!
巡り与えてきた神様だからこその言葉選びではありませんか。
またこの神様の激昂した姿も、怒りのまま我を忘れて祟り神化しそうで本当に好き。
怒ってる様子ばっかピックアップしてしまったけど、
おとぎ話のように締めくくられる物語もすごく良いんだよ。
そして神様たちが純心で可愛いったらない。
表題作の「マウリと竜」も好きなんだけど、小鳥の巡り神様と狩人の「常春の狩人」がすごく好きだよ。
春を呼ぶ小鳥の神様と狩人のお話です。
春を待つ狩人がすごく好き。
絶望の中でも春が来た。巡り神は、誰の頭上にも足元にもあまねく春を呼ぶ。
そのことに救われたのだという狩人の話が、もう大好き。
ちなみに2巻は、1巻では描かれなかった神様の側面という感じです。
巡り巡ってもたらすものが戦火であったり、
人と通じない猫の神様だったり。
「イツカと黒い竜」もじっくり読んでいくと、
生まれるもののために壊す役割を持つ神様があることに
より一層、神様らしさを感じてときめいてしまう。
基本的には神様と人が恋に落ちる話ではあるものの、
巡り巡るものに良いも悪いもなくて、なるようになりながらそこに寄り添っている感覚。
わんこの話もあるんです。
わんこ。
あの、最終的には幸福になるんです。
わんこが。
でも最終的な幸福に至るまでが、
とても健気で可哀想で結構心にクるので
実はちゃんと読めない。
本当に元ハルヒラさんの描く動物は生き生きとした骨格を持っているものだから
痩せてんのがすっごい分かるの。
痩せこけてるのがすっごい分かって、つらい。つらい!!!!
うおおおおん缶詰あげるよおおおお_ノ乙(、ン、)