ジュテーム、カフェ・ノワール|ヤマシタトモコ【全1巻】
もうほんと、これ大好き。
表題作のジュテーム、カフェ・ノワールが大好き。
ことあるごとに、ジュテーム、カフェ・ノワールは良いぞと知人に吹聴している気がする。
表題作 ジュテーム、カフェ・ノワールを含む7つの短編からなる作品です。
どの作品も、舞台は現代。
登場人物も、葛藤も悩みもそれぞれ静かに持っているけれど、特別な何かは無い至って凡庸な人々で
でもそこから生じるかすかなドラマが見事なまでに描かれていて、本当にこの短編集大好き。
ヤマシタトモコさんの会話劇やモノローグの台詞回しを堪能出来る作品なんだ。
舞台とかで見たいよおおおお。
この会話を、生の声と空気で聞きたいし見たいんだよおお。
何なんだろうこの魅力。
ヤマシタトモコさんの魅力は、刺激と反応というか、
Aを投げたからBとなって返ってくる・Bとなって返ってきたから今度はCになる、というような
登場人物たちがそのキャラクターを持ちながら、
思考や関係性が刺激に応じて変化していく様子が見られるのが楽しいのかな。
この刺激と反応の楽しさ・面白さが充実しているのが1本目の ラ・カンパネラ。
そしてモノローグの魅力が充実してるのが、2本目「サタデー,ボーイ,フェノミナン」
ほんともうこのモノローグすごく好き。
リフレインするセリフが好きなら堪らないと思う。リフレイン大好き。
リフレインした挙句変化するセリフ大好き。
そして「ワンス アポン ア タイム イン トーキョー」にもモノローグの美しさが詰まってる。
で、一番好きなのが、表題作の「ジュテーム、カフェ・ノワール」。
カフェに集った3組の客と2人の店員。
4対の会話が絶妙に重なり合いながら、しかも4対ともに別のシナリオが進行しているっていう
何だこの、この、すごすぎない。
ひとつの組の会話が別の組の状況を打破したり、示唆したり、
4つ分のドラマが4つずつ絡み合って別のシナリオの流れになって、
また会話も重たすぎず、良いタイミングでコメディで潤しながら進められていくのが
本当に好き。もうこの短編が本当に好き。
箱物の舞台を見てるようなテンポの良さと面白さ。
いのちに関わるような劇的な展開はなくて、
日常の中に出てきたドラマの部分だけを切り抜いて、そこだけにスポットライトが当てられて見ているような、
これまで、と、これから の丁度あいだにある一瞬だけを見ているような、
起承転結の転の部分だけを凝縮してるようなテンポ感と、結に向かう余韻がある作品群です。
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