ヘブンリーホームシック|京山あつき【1巻】

ヘブンリーホームシック

ヘブンリーホームシック

ヘブンリーホームシック

[著]京山あつき

 

舞台はイギリス、主人公は海外勤務が任ぜられていた日本人男子2名。
言葉も食べ物も気候も違う国で全身ホームシックに罹っている二人のお話。
もじゃ髪の太田さんと、黒髪の行貞(ゆきさだ)さん。

なんかもうううううう
太田さんの、この心細さが募ってもう限界という状態がすごく染みるように伝わってくるんだよおおお。
もともと二人は高校の同級生なので、異国で偶然知り合った日本人ふたりではなく、異国で偶然会えた旧友になります。
このひとりで抱えてた限界の心細さや寂しさが、同僚でもはじめましての人でもない旧友に会えた喜びと安心感で一気に吹き出してくる様子が……あああ……
開始20Pくらいですでに涙が目に浮かんでしまったよね……涙腺も弱いしね……。

だって本人も「体は丈夫です!」て言って、ロンドン勤務FOOOOO!で意気揚々と旅立った太田さんが、
行貞さんが家に泊まってくれると知って「今日は泣きながら寝ないですむ」ってひそかに肩震わせてるのもうこれ、見てるこっちの胸が痛んでくるじゃん……。
日々泣きながら寝てたのかよお……。
英語教えてもらおう とどこか会話探しのひとつのように話しかけながら、途中で堪えきれずに泣いてしまうとことかもう、どんだけ行き詰まってたのよお……。

寂しさと懐かしさと安心感が上限突破したのか太田さん見事に行貞さん襲ってしまう訳なんだけど
それがホームシックの魔法なのかを測っていた行貞さんの方がよほど冷静なところも良い。
同じ文化で育っていたから居心地が良くて、食べ物を同じように楽しめるから一緒に居たいのか、不便だから向かいたいのか、でもそれは違うんではないかって巡らせてる。
故郷を離れてふたりきり、どこか正気じゃないものを「恋はきっと正気じゃない」としながらも「でもこれはホームシックの魔法ではないのか」という疑問が作品の底の方にずっとある。
その魔法はまったく解けなかったけどな!!!!!!(おめでとうの喝采とともに)

この作品の好きなところはね、それでもその国が誰かの懐かしい故郷であることを描いてくれるからなんだ。
太田さんのホームシックを描くために、差別的な描写も日本との差も描かれるんだけど、途中で出てくる太田さんの同僚の恋人さんがとても良いんだ。
「彼と一緒にいることが自然だからよ」と結婚した逞しい彼女も、故郷との別れには号泣する。
ここが彼女の故郷で、これから向かう場所は彼の故郷で、きっと良い場所でもあると思う反面、そういうこととはまったく別で故郷との別れは辛い。

ヘブンリーホームシックは読後感がすごく良いんだ。
ふたり出会えて良かったね…!ていうのも確かにありつつ、
なんというか、違う国で思い通りにいかないことばかりがあってそれが強烈なホームシックを呼び起こしていたんだけど
そのホームシックは「でも思う通りでなくてもどうにでもなるだろう」という気持ちも連れてきてくれてたからなんだ。
それも太田さんと行貞さんが一緒だったからだけど、この誰かの故郷がつらいものだけにならなかったり、ふたりが出会うだけの装置にならなかったところがすごく好き。

 


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