noisy jungle|山田袋【分冊】
アンドロイドたちが至って普通に暮らす世界を舞台に、アンドロイドと人間のペットのお話。
全27ページで描かれる倫理スレスレの世界観。
この方の独特な世界観の作り方が何かすごく気になってしまって、
今rentaで買える短編3つ分まとめて購入してしまった。
なぜ人間がペット側になっているのか、だとか、
なぜアンドロイドとの立場が逆転しているのか、だとか
それでいてこの秩序ある平和な世界は何なんだ、だとか
全27Pの中でこの世界に興味しか湧かない。
穏やかに日常を過ごすアンドロイドたちの姿と、
ペットである人間と性行為をする主人公のアンドロイド。
ペットとキスをする、身体を寄せ合う、それは普通のことだと言い聞かせながら、
ではその先は?
もうね、好きなのはこの違和感のかたまりみたいな雰囲気なんだよ!!
可愛がり身体を寄せながらも描かれる主人公の背には、パーツとパーツの境目があって
コードを挿入できるような穴がある。
アンドロイドに体毛は(恐らく)見目に関わるところ以外にはなく、体液も出ない。
身の危険やプライバシーに関する事柄には警告も鳴る。
でも、人間との性交には鳴らない。
好き と互いに言葉にし合っても鳴らない。
人とは違って明確にラインを引いている警告が鳴らない。
作中で少しだけ理由に触れられているような、いないようなところもあって、
その理由もとても優しいものなのに、この優しさがまたこう
生命の上段にいるものが持ち得る優しさのようで、何かこう。こう!!!!
他の2作品も読み合わせてみてあらためて、
根が強い世界観を描かれる人だなぁと思う。
一般的にはきっとそうではないのだろうけど、しかしその道理も分かる気がするというか、
そういう錯覚を見せつけてくるような雰囲気があります。
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