春のかぎりに飼う人は|山田袋【分冊】

日本の異類婚姻譚を思い出すような雰囲気の作品です。
全33ページの中に満ちているこの湿度!!!
絣模様の着物の小説家先生とサスペンダーをつけた書生のような編集の青年のお話。

幼い頃に聞いた、人をさらう蛇の話になぞらえて本編は進んでいくのだけど
この雰囲気が! 雰囲気が!!!!
人里離れすぎたところにある作家先生の木造畳張りの家も素晴らしいんですが、
また小道具で扱われてる紙風船ですよ、紙風船。
一気に時代感を分からなくさせてくれる…!!!
橋向うから聞こえてくる人の声や音楽、夕暮れになると山の麓に灯りが見える。
明らかにもう、この世とあの世の境目にいるじゃないですかこれ……。

またね、蛇にさらわれた先生が、「子ども」の延長上にあるようなのが良いんですよ……。
作中で描かれている訳ではないんですが、
蛇の青年と山々を散歩しながら遊んでいる様子はまるで子どもの遊びのようでさ……。
草笛をふいて、たんぽぽ吹きかけてからかったり。
聡くはあっても、大人とは少し違う作家先生の姿に「さらわれてきたまま少しだけ年を重ねた子ども」だったり、「さらわれたまま幽世で育ってしまった青年」を感じられるのがすごく良い。

物語の中で蛇の青年が時折表情を曇らせている様子からも
それが今までに何度もされたやり取りで、けれど本当はしてほしくはないやり取りなのが伝わってくるところも好き……。

山田袋先生の作品の何が好きって、「人」と「人じゃない何か」の組み合わせの多さもさることながら
やっぱり世界が好きだなあああああ。
人と人じゃない彼らの不思議な孤立感。
舞台を現代にしている作品もあるんですが、その現代の舞台の中からも孤立している感覚がある。
切り取られたというか、切り抜かれたというか。
閉塞感のような行末が見えないという感覚よりも
世界があってそこのルールもあって確かにそれに則って彼らも過ごしている筈なのに、世界丸ごとの中には馴染めていなくて彼らは彼らでまた「孤立」している感じ。
疎外よりも、彼らが自ら一線引いてるようにも見えるところも好き。


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