てのひら怪談|四宮しの【全1巻】

てのひら怪談

てのひら怪談

てのひら怪談

[著]四宮しの

 

BLというより少しオカルト寄りの作品なのかな。
ゆうれいが見える日下くんと、彼をたすける平片くん。
このふたりを中心としたオムニバス形式の短編がおさめられた作品です。

ジャンルって言って良いのか分からないけど、百鬼夜行抄が好きならこちらも好きな気がする。
日常と怪異があって、そこに情がじんわり交じる感じ。
すごく穏やかであたたかな線なのに、ちょいちょい背筋が冷えるこの感じ……真夜中にベッドで読むとちょっと「ヒョウ……」てなります。
レビューだと「癒やされる」「優しい」とあって、四宮先生の他作品もいくつか買ってるんですが(なぜなら線がめちゃくちゃ好きだから)
なかなかこう、闇深設定がしれっと混ざってて油断ならんなと思う。

てのひら怪談はその闇深設定が結構つよく根っこにある感じ。
1話の設定は宿舎のある学校です。

レトロな木造校舎に、掛けられた愛らしい表札。
緑豊かな庭に、誰か死んだような噂が匂わされる池。
膝丈のスクールパンツに身を包んだ穏やかな同級生たちと、ちょっといけすかない先生。
そしてそれ以外、誰もいない。
いつからここに居るんだろう、なんてぼそっと言わないでくれよおお。

このね、穏やかで愛らしい雰囲気とじわじわと積み重なっていく違和感がもうゾワゾワ来て堪らない。こういう違和感大好き。

てのひら怪談はこの違和感が少しずつ積み重なって繋がっていく展開も好きなのだけど
その根には優しい理由があるところも、切なくてすごく好き。
その優しさに引かれるように、
もしかしたら付け込まれて日下くんすぐ取り込まれちゃうから、その度平片くんが引き戻すんだけどさ。

自分の大事なもの、というよりも、存在意義に近いようなものを大切な誰かのために差し出して、それを後悔していないと言いつつも揺さぶられたら揺らいでしまうところもすごく好きだし、
他者の大事なものを統べたら自分は「あの人の」大事なものになれるのではないかというところもすごく切なくて好き。

1話もそうなんだけど、
日下くんたちが出会う怪異混じりに取り込まれた人々が、優しくてあまりに他の人のために願うばかりの人々で泣いてしまう……。
1話がいちばんオカルトみが強いのだけど、そこから徐々に種明かしがされていって
平片くんが持つものや持っていたものや、それを誰とどうやって引き換えして手に入れたのかだとか
そこらの謎解きもすべてしてくれて最後はやっぱり優しくまとまるから読後感はじんわり暖かくなれる。

 


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