ワンルームエンジェル|はらだ【全1巻】
ああああああああああこの話好き、これ好きだったの!!!!
元々は「ヘンアイ」に収録されていた短編『止まり木』のセルフリメイク作品です。
セルフリメイクしてくれるって聞いてすっごい楽しみにしてたんだ!!!!!
ここ二週間くらい!!!!!!!!!!!!!
うぇっへーーーーーやったーーーーー!!!!!!!!!!!
いちいちもう「はらだ先生の目つき悪い男最高だな」「こんな、こんな調子で250Pも楽しんで良いんですか?」「1ページごとに尊い」を繰り返しながら読んでたら一気に涙腺壊されました。
な、なんてものを描いてくれるんだ……最高じゃん……。
はらだ先生、濃厚なエロもめちゃくちゃ上手いんですが、ワンルームエンジェルはエロなしです。
Rentaさんでのジャンル区分にも少女漫画が入ってます。
はらだ先生史上、最高に優しい物語の煽り文句そのままの、めちゃくちゃに優しくて苦しくて幸福なお話でした。
うう、胸が苦しい。
ちょっともう読み返すどころか思い出すだけで、食欲がスンッてなるくらいに胸が満たされて苦しい。
紛れもないハッピーエンドなのに、何でこんなに抉られるように泣いてしまうんだろう。
以下は完全にネタバレで、まだ発売からそう日が経ってないのでご注意ください。
構成の妙
構成から読んでもすっごい面白い。
一度読み終えてからまたはじめから読むともーーーー繋がる繋がる。
画面にあるもの、キャラクター達の反応、全部が全部繋がってることが分かる。
まんがが、まんががうまいっていう頭の悪い感想が真っ先に出てきてしまった。
キャラクター設定ではなく、確かにこの子を構成している要素だったんだと読み返すと全部分かる。
記憶を無くしてもちょっとした言葉の端からこの子が暮らしてきていた習慣や、聞き慣れていたものを測れる。
あととてもメタだけど「よるとあさの歌」だったり「やたもも」に出演してたキャラクターがしれっと被ってるところもとても愉快でした。
こ、幸紀さん、弟さんそれなりにあっちのお仕事頑張ってるよ…! ライブとかに一緒に行ってるはずだよ…!!!
幸福の影
煽り文句の、はらだ先生史上最高に優しい物語は本当にその通りで、
でもその優しさを際立たせる出来事の抉り方もまさにはらだ先生のそれなんだよ。
確かに触れているのは優しさなのに、
なんでもっとはやく、だとか、どうしてだれかが、だとか、そんなことがずっと渦巻いてしまう。
優しさを優しさとして受け取って、互いを気遣って大切にして満たされていく彼らの姿が眩しくて、
でもその姿がもう物凄く色濃い悲しさの上にあるものだから、
嬉しそうで楽しそうで眩いほどに悲しくて遣る瀬無くて、両極端に引っ張られ続けて胸が潰れていく。
ハッピーエンドであればあるほど、そこに至るに必要だった悲しさや絶望を思い出してしまう。
そしてその両方を忘れることが出来ない。
でも幸せの物語のはずなんだ。
与え与えられ戻ってくる、究極的な自己愛
君が君の価値を知らずとも私がそれを知っている、というのもとても好きなのだけど、
自分の価値を自分が認められたその瞬間の力強さと余りある輝きに、ただただ打ちのめされてしまう。
与えて与えられて、自分を認められるところに着地したことを何度も思い出して泣いてしまう。
自己愛と他者へ向ける愛が等しく並べることが出来るのは、ひとえに天使ちゃんの設定の強さもあると思う。
幸紀さんの感情を共有するから、幸紀さんが満たされていれば天使ちゃんも満たされる。
天使ちゃんを満たすことに幸紀さんも喜びを見出す。
その循環があるからその幸いは決して自己満足の自己愛ではないことも分かる。
満たして与えることが出来た自分を知って、そうやって他の人々も喪いながら与えてもらったものを握りしめて次に行こうとしていることも知っていくラストを思い出すだけで 泣く。泣いてしまう。
はらだ先生の作品はほんと、自然体の無自覚サイコパスとか「君にはまずプロのカウンセリングが必要なのでは」というレベルのキャラクターたちがてんこ盛りなんですが
それでも彼らに惹かれてしまうのは、何しろ彼らの変化に伴うカタルシスがすっごいから。
自分でも見ないようにしていたものから解放される姿であるとか、
薄々気付きながらも薄氷を踏むような状態で踏みとどまっている姿であるとか、
救い救われるようなハッピーエンドとは違うのに確かに抉ってくる破壊力が凄まじい。
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