ふくふくハイツ|本郷地下【全1巻】

人間に化けたイタチのマル君と、大学院生のスナオ君のお話。
ひたすら可愛い生活を追えるよ!
日常生活モノ好きには堪らないよ。堪らない。
とにかくもう何が好きって、この2人が生活してる風景を眺めてることだよ……。
本郷地下さんはmoon riverでもそうだったのだけど、
生活風景を描くのが本当にうまい。
それも何と言うか、2人だけではなく、2人の住む町の空気まで描いているような感覚にすらなります。
実際作中では、マル君が商店街お散歩して、夕暮れの鐘を聞くシーンもあるんですが
この生活風景の愛しさときたら……。
生活、好きですか? と問われて、死ぬほど好きです と答えたくなるような作品なんだよ。
こう、「日々を丁寧に暮らす」とかそういうタイプのではなくて、
洗濯して掃除して、買い物をして、ご飯を作って、っていう営み。
なんてことない営みへの愛情感が半端ないんです。
料理もするし、新しいレシピに挑戦もするし、買い食いだってするし、衝動買いもしちゃうし、眠れない夜もある。
そういう営み。
季節のお野菜が並ぶスーパーに行って、夕飯はお鍋にしてってもう、
何でこんなときめくのかわからないくらい、一コマ一コマから溢れる生活風景が愛しい。好き……。
何だろうなあ。行きたいんだよなあ、この空間に……。
マル君は人間の生活に憧れてイタチの世界から抜けてきた男の子で、
だからこそマル君の視点を通して見る人間たちの営みは、とても穏やかで、
懐かしさや憧憬が溢れるように見えるんです。
またマル君、人間の生活に慣れてはいないけど決して無礼な訳ではなく、
むしろとても躾の行き届いた良い子なのも分かって、そこもすごく好き。
作中で一番好きなのが、
マル君の暮らしていた神社の中にあるたった一畳の生活空間。
もうここ、見るたびに胸が締め付けられるくらい好き。
細かな描写やモノローグも何もないのに、拾ってきた本(しかもジャンルもバラバラだ)が
丁寧に本棚らしきところに収められている様子に、本当に本当にささやかな憧れが詰め込まれていて
いつも胸が締め付けられる。
ジャンルはBLになってるけれど、これ少女漫画の分類で充分大丈夫なんじゃないかなあ。
本郷地下さんの作品は、暮らし営む風景への愛しさと、少しせつない読後感と、
でも決して不幸ではない終わり方があって、寝る前に読むと何か心穏やかに眠れるんだ。
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