タイラント|未散ソノオ【全1巻】
未散ソノオ先生の作品が!!! 好きだから!!!!!!!
完全に作家買いです。未散先生の作品は合うんだ、俺は詳しいんだ。
未散先生の作品は全体的に割と優しいふたりのものが多いんですが
タイラントはまたちょっと色合いが違う感じです。
命の危機を本能的に求めてしまうアリと、それをサポートするタイラの2人のお話。
2人は同い年の義兄弟です。
もともと未散先生の作品からは、独特の文法というか、
メインとなる2人が持つ独特の言語というか、それをもって互いに通じるものがあるような感覚を受けてたんだけど
(そしてそれが感じられるところも優しい言語で表現されるところもすごく好き)
タイラントはその独特の文法や言語、ふたりの間で通じているものがさらに際立った感じ。
死にそうな瞬間が何より好きなアリと、いつ死んでも大丈夫だよと笑うタイラの間にも
この独特の言語が強くあります。
アリが抱えている「死ぬような目に遭うのが好き」という欲求は「死にたい」という自殺願望めいたものではないんだ。
もちろん死への憧れでもない。
だから上述した「死にそうな瞬間が何より”好き”」っていうのはちょっと違うのかな。
好きか嫌いかではなくて、本人にももう選べないような本能に近い。
本人もおかしいと気付いていたけれどそれを抑えることは出来なくて
その中でただひとり「死んでも大丈夫だよ」と受け入れてくれたのがタイラお兄ちゃん。
っていうこのあたりはすでに序盤の20Pくらいですぱーっと説明してくれてます。
別に作品を全部追って「そ、そういうことか…!」みたいなことにはならないです。
親切!!!!
で、この説明を受けたら何かもう完結しちゃいそうなんだけど、
この説明を受けてなお、ふたりの独特の通じ方への違和感がすごく楽しい。
ちょっとゾッとするようなところも含めてとても楽しい。
タイラントを読んでいると、タイラの向かい合い方がとても好きだなぁと思う。
アリの衝動は物語上分かりやすいといえば分かりやすくて、
その突き動かすものが死なのかそれ以外なのかの違いだけでしかない。
方向性としては芸術家のようにも感じる。
でもタイラの向かい合い方はちょっと違う。
片手でアリを支えて繋ぎながら、アリの視線は絶対に自分に向けさせない。
その衝動の向かう先を自分にはさせない。
物語の最後の最後に出てくる台詞が、すごく良いんだ。
物語を通してアリを突き動かしてきた「死」への衝動があるからこそ生きる台詞がすごく好きなんだ。
そしてタイラントの凄さは
あの最後の台詞をもって関係に片がついたように見えるのに
タイラは本当に冷静に冷静にアリのことを理解してるところなんだよ……。
どこか残酷なくらいタイラは冷静で、アリの気持ちを疑わないのと同じくらいに
アリの衝動はアリが自分でどうにか出来るものではないことも知ってる。
タイラントにすごく心惹かれるのは、もはや滅私に近いこの献身に信仰を見てしまうからなのかもしれない。
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