BARBARITIES|鈴木ツタ【現在1巻】【続編連載中】

そもそも80年代漫画の貴族様風景が大好きなので、
麗しい衣装に身を包んだ画面だけで幸福になれてしまう。
ファンタジータグつけてますが、舞台となるのは魔法は無いここではない架空の国の話で
国を支える司法卿と、司法卿の護衛にあたる放蕩貴族のお話です。
とにかくアダム(※表紙左側の金髪の麗人)の
心身ともに頑丈な様が素晴らしい。
たくましいよう。頑丈だよう。どういうメンタルしてんのこの人(褒め言葉)
「私はこの土地に性的なお友達がわんさか欲しいのだ」
って開始10Pで言い放てるこのメンタルよう。
BARBARITIESの魅力のひとつは、何しろこの登場人物たち。
心も身体も健やか(過ぎるほど)な放蕩貴族アダムに、
潔癖で真摯な理想者の司法卿ジョエル。
メインとなるのはこの2人ながら、脇を固める人物たちもとても魅力的に描かれてます。
司法卿ジョエルと仲良く喧々諤々する枢機卿あり、
隣国からひっそり政治的介入を目論む主従あり。
そして更に魅力的に輝くのは、この国の状況・策略までもが散りばめられている世界観があるからでもあります。
宗教のもとに国を統一すべきか、けれど宗教だけで国は成り立たない。
国内では土着した信仰とは別の信仰が新たな火種を生み出しつつあるけれど
それを国として異端審問してしまうのは危険すぎる。
あくまで国は法のもと、教育を与え、民を育てていくのだっていうこのスタイル、めちゃくちゃ硬派で格好良いね。
すごく好きです。こういう「上の人」が国や未来を作ろうと尽力している姿はすごく格好良い。
まだ幼い王を支え、他国と渡り合い、国を守り民を導くためには、論理と法が必要だと向かい合うジョエルのなんと崇高なこと。
BARBARITIESでとても好きなのが、尊敬を含んだ関係性。
尊敬から派生した関係性で、互いに良い影響を及ぼしそうなのに
かたくなに国と法を見据えて色恋を遠ざけるジョエルの潔癖さが一層際立ちます。
とはいえ友人は欲しているのだけど、多分これは友人というよりも、今ジョエルが欲しているのは同胞なのではないか。
で、まるで対照的にあるのが、隣国から訪れている次期国王とその従者。
こちらは割とがっちりとした主従関係があります。
どちらも信頼とは別に、信頼を違えたなら報復があるだろうという思惑を抱えているのがすごく良い。
っていうところも好きなんだけど!!
BARBARITIESはとにかく衣装が細部までおしゃれでキレイでほんと堪らん……。
ジョエルの靴デザインの可愛らしさ……。
上背のあるアダムは何を着てもお似合いでいらっしゃる……。